開業の成功 = 税金問題の発生
開業も事業ですので、開業医の所得は人によって異なります。私どもで顧問契約をして頂いている医科ドクターの平均所得は、約3500万円です。
税金は、課税所得が1800万円を超えると超えた部分に対し、所得税が40%、住民税が10%で合計50%、さらに4000万円を超えると、所得税が45%、住民税が10%で合計55%の税率で課税されます。
従いまして、開業に普通に成功すると高い税金を支払わなければならなくなります。
◆ 医療法人の問題点
そこで従来は多くの先生方が開業後3年程度で医療法人化を進めてきました。しかしクリニックの医療法人化にあたってはいくつかの問題点があります。
1. 法人化にかかる時間の問題
法人化の手続きについては各都道府県によっても異なりますが基本的に年に2回しかエントリーできずさらに認可までは約6ケ月間の審査期間が必要となっています。
2. 借入金引継ぎの問題
法人化に際しては個人で開業していた時の借入金の引継ぎについて制限があります。設備資金として借り入れた金額については減価償却後の現在の帳簿価額までしか引き継げません。たとえば2000万円の医療機器を全額15年返済(1年据え置き)の借入金で取得した場合医療機器の取得から3年経過時点では、
借入金残額約1714万円 医療機器の簿価 800万円
医療法人への借入金引継ぎ可能額は800万円で、約914万円の借入金が個人に残ってしまうことになります。
またクリニックが立ち上がるまでに必要だった運転資金の残額2000万円については全額引き継ぐことができません。
3. 管理の煩雑さ
医療法人になると設立時だけでなく設立後も行政に対して各種報告義務があります。このように個人開業後の医療法人化は時間と手間がかかります。
◆ 開業時からの一般社団法人化のススメ
特に医科の先生は普通に成功すれば開業後に法人化するケースが多いので、開業時から法人化した方がいろいろな点で有利です。
また歯科の先生でも分院展開を考えているのであれば、法人開業しておけばいい物件が見つかった時にすぐに出店が可能になります。
医療法人もごく一部の都道府県では開業時からの法人化が可能ですが、審査に時間がかかるので実質的にはほぼ不可能と言えます。
開業時から一般社団法人で開業するメリット
- 開業後に法人化する手間が省ける
- 開業時に借りたお金は全額法人の借入とできる
- 医療法人のように行政への報告義務がないので管理が楽